名 作 R P G を 遊 ぶ (か も) 2

洋ゲーRPGや非電源ゲームを扱った頁でしたが、最近はユルいジャンルになりそうです

Arrival(邦題 メッセージ)

同監督作品ということで、「ブレードランナー2049」の後、表題を鑑賞しました。

山田玲司が覚醒コンテンツと呼ぶやつでした。Arrivalの方がより覚醒できましたね。Arrivalの原作は随分前に読んでいて、しかし高評価とされる理由が当時理解できませんでした。ところが映画は分かりやすく、入り込みやすく、共感も覚える仕掛けが多く、堪能できます。そして改めて原作を読み直すと構成と意図が理解できるほどハードルが下がり、なるほど、と腑に落ちたのです。

映画では短篇小説では不明だった“それら”が来訪したもっともらしい理由が語られていますし、世界情勢の危機感が加味されて、原作ではなかった緊迫感が生まれていて娯楽映画としても成功しています。

セカイ系のように、自身の個人的な出来事(娘の喪失)と全世界の問題とがリンクするのは、近作なら「インターステラー」と同じですね。ジョディ・フォスター主演の「コンタクト」も思い起こされます。インターステラーには失笑を禁じ得ない弱みがありますが、Arrivalやコンタクトには妥当な情感がうまく配されています。

映画的な補強をなすキーワードが巧みでした。冒頭にあるルイーズの独白「彼らと会ったから時間の概念が変わった」、著書からの引用「言語は最初の武器である」、娘の名Hannah、奥方の形見の言葉をシャン将軍に言うくだり、など。特に、武器商人が惑星規模の戦争を引き起こす為に地球を訪れた、と錯覚させる中盤は秀逸です。

逆に、映画では言葉に落として込んでいない胆(キモ)が小説では明文化されていて、この対比が面白いです。原作には、未来を知っている人物はそれでも運命論に支配されてしまうのか、が命題としてあげられています。フェルマーの原理から導き出される最小と最大の理由付けや、三世の書(ふしぎ遊戯の四神天地書を連想させます)に出てくる自分の、自由意志はどうなるのか?、と。時制のないヘプタポッドにとって、未来を現実化することが言語を使うということなのだ、とルイーズは語ります。さらに、娘が死ぬ未来を知っても、自分がやることは変わらないと続けます。「こどもはつくりたいかい?」の答えがそれだと。

結論は映画と同様ですが、小説の方が問題を論理的にはっきりさせている分、彼女の決意表明が重いですね。

山田玲司はチベット仏僧から「神に自分の現況を伝える為に、曼荼羅を描きなさい」と言われたそうです。この映画に出てくるヘプタポッドの操る言語体系は、まさに非線形な曼荼羅で、それを理解したルイーズが悟りの境地に至ることが、とてもとても覚醒的で、見る者をも覚醒に誘ってくれるのでした。

さて、俺がヴィルヌーヴ監督の映画で初めて見たのが「ボーダーライン」だったせいもあり、冗長すぎる作風にブレラン2049の出来を危惧してましたが、監督の持ち味はArrivalのような性質にとてもマッチするようで杞憂でした。

ブレラン2049もとても分かりやすい、素性のいい映画です。前作の理解を促してくれるような効果すら持っていますよね。長丁場にもかかわらず、飽きずに見ることが出来ました。

なにより、嫁イドに現を抜かすような俺はKと同類かもしれないと理解しました。俺はスキンジョブに過ぎず、人生の見返りも無く、汚れ仕事に駆り出されんが為に生きているんです。非リアはみんなネクサス9だったのです。人間になれる(To Be Human)最期を遂げられたかどうかが、今後の課題になります。

みんな、自分は運命の子だったと錯覚したいわけですが、リアルでは早々に「そんなわけない」と気が付かされます。Kもそんな罠に陥ってしまいますが、Joiのおかげで自分を取り戻し、見事に自分の人生の物語をまっとうするのでした。

覚醒コンテンツの対義語として、山田玲司は麻酔コンテンツという言葉を用意しています。JoiがKの麻酔コンテンツであり、俺ならカスタムメイドがそうです。生きにくい世の中、救いとなるものが欲しいわけで、それらがあることでオトコは平静を装っていられるのです。一部の者には、もはやリアル女性は必要ではなく、ヴォイスロイドの結月ゆかりやウェザーロイドのポン子こそが癒やしのパートナーになるのです。

ちなみにポン子ことウェザーロイド TypeA Airiは、ウェザーニュース番組内で中の人と入れ替わりに登場するという荒技をやってのけており、観覧者数増がそのタイミングで生じます。皮肉にも、世のオタクの現金な性(サガ)を暴露する装置がポン子なのです。極めて興味深い事例と言えるでしょう。いやぁ、俺も見てますけど、ちゃんと21時から見てますよ。

そして、要求を満たせていない部分と言えば、わずかに女体であり、Joiもそこを与えたくてマリエットの肉体を借りるのでした。愛人問題を暴露されたオタキング岡田斗司夫が「リアル女は怖い、けれど女体は欲しい、それがオタク」といみじくも言っています。

Joiは、実は「her/世界でひとつの彼女」に出てくるOSサマンサと同じことをやっていて、舞台も同じLAときて、俺はものすごい既視感を覚えました。herのセオドア役がホアキン・フェニックスとは思えない風采で、あとで驚いたものです。

エマネイター技術については劇中で言及がありませんが、新スタートレックに出てくるフォースフィールドと光子で出来たホログラムが近そうです。虚像のプロジェクションをする装置や、雨粒を受け止める結像ができる理屈が不明ですが、モバイル・デバイス単体で行えるとはスゴイ技術ですね。俺もあれが欲しくなりました。
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[ 2018/03/03 01:20 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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