WESTWORLD

HBOのTVシリーズ「ウエストワールド」。マイケル・クライトンの’73版をひな形に、今日的な要素がふんだんに散りばめられている。

Fallout 4をプレイした人なら、相関を感じるはず。テーマパーク園内の人造人間たちが自分たちの存在に疑問を持ち始め、自意識に目覚めていく様子が描かれているからだ。

もっとダイレクトには、「インスティテュートでの人造人間Synthの製作過程」の様子がそっくりそのままウエストワールドにも出てくる。どちらも、ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を原典にしていると思われるが、イメージとしては共通であり、尚かつ相補するとドラマがより強固になる。日本人からすれば、「まるで攻殻機動隊の素子のボディが作られる様子じゃないか!」というわけなのだが、ウィトルウィウス的人体図をモチーフとして使うところがミソなのである。なお、「ウエストワールド」プロデューサーのJ・ノーランはビデオゲームの熱烈なファンでこの相似を認めているそうだ。

他にも、断片的なイメージの積み重ねにより重層的なテーマを感じとることが出来る。例えば、目のクローズアップ。映画「未来世界」でも登場したが、映画「ブレードランナー」の冒頭でもお馴染み。目は心の窓。人造人間≒レプリカントである。

Wのマーク。エイリアンシリーズの黒幕として登場する「ウェイランド=湯谷」社のロゴと似ている。前身のウェイランド社は映画「プロメテウス」で登場し、やはり人造人間デイヴィッドが裏切りを行う様を描いた。レプリカントのネクサス6が製造者のタイレル博士に会うシーン同様、社長のウェイランドが、エンジニアと呼ばれる人類のDNAの始祖となる存在に、延命を懇願するシーンがある。

ウエストワールド園内では人造人間は「ホスト」と呼ばれ、1日を指定されたシナリオに沿って過ごす。制御する人間側はこの一日のルーチンを「ループ」と言っている。円環からの脱却こそ真の道だと悟った猟奇犯人が登場したドラマが同じHBOにあった。TRUE DETECTIVEの一作目である。仏教思想の解脱に近い概念が、なにやら持てはやされているようではある。

ブレードランナーと言えば、原作者のフィリップ・K・ディックだが、彼がヴァリス以前に小説で繰り返し使っていたテーマがまさに「ホスト」の世界のようだ。

洋ゲーの話に戻ると、最近読んだWarren Spector氏の基調講演の翻訳記事中に、

「ゲームは,プレイヤーに現実世界ではやろうとも思わないような行動を取らせる機会を与えます。ゲームをプレイしているときは,誰かを見ているのではなく,その誰かになっているからです。自分の行動に選択と結果を与えるという経験をさせてくれるメディアというのはゲーム以外にありません」

というものがあったのだが、ウエストワールドの「ゲスト」たる主人公の振る舞いや、Fallout 4やウィッチャー3を遊ぶ我々の振るまいがまさに言い表されていて興味深い。

造物主と人間と、その人間が作り出した人造物からなる三重構造は、現代アメリカ人にとっては――手垢がついていても――なお、掘り返したくなるテーマであるらしい。

もっとも、そうした括りを使わなくても、今日ではもはやAIを身近に感じることができてしまう。まだまだConsciousnessを持つようなシロモノではあり得ないが、SiriやCortanaやりんな、加えてVRの中に限って現実味をもつような存在に触れさえすれば、架空のホストやスタートレックVoyagerのEMHドクターのようなシロモノを空想することは、ディックが生きていた時よりもずっと簡単になった。
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