究極の癒やしゲー

この時期になると緩いものが遊びたい。今回は、ドリームクラブZERO(PS3ダウンロード版)。じゃじゃ~ん。

キャバクラを模してはいるものの、ベースのフォーマットは萌えアニメや恋愛シミュレーション。例えば、キャラの立て方がツンデレとか幼女とか。金持ちのお嬢様で酔うと性格が変わる、とか。そんな具合。

プレイヤーの相手をしてくれる女の子キャラクターは、2D画の紙芝居ではなくて、ポリゴンによるリアルタイムレンダーだ。ただし、モーションは両手の指で充分そうな数のパターンがあるだけ。カラオケに注力する余り、飲む場面でのコレオグラフは省力化されすぎ? 

肝心の接待シーンを盛り上げてくれるのは、なんと言っても声優さんの力量と、ライターさんの文章力。それから、膨大な物量。昨年遊んだ前作のドリームクラブ無印とは、ランダム会話の物量が違う。それに無印では、キャラ固有のシナリオ色がちょっと強すぎた。恋愛シミュレーションとしては正攻法かなと思えるけれども、雰囲気を楽しむゲームとしては、リプレイ時に飽きがきてしまう。

今作では、シナリオの起承転結はあっさりめ。『どうでもいい会話』の比重が増している。この『どうでもいい会話』が、実はとっても重要! だって、女の子と飲んでいたら、ざっくばらんに『どうでもいい』ことを聞きたくなるじゃないか? そのバリエーションが今作では増えていて、同じ話題がリピートする率がかなり低下した(前作では、「また同じ事言ってる」場合が多かった)。

女の子のカラオケ(音ゲー)もこのゲームの醍醐味。もっとも、アイマスの二番煎じは否めない。あちらが未成年の少女ばかり(体型が針金)なので、こちらは成年のふっくらした(ボンキュッポン)容姿でアピールしてきている。とはいえ、萌え系の絵師視点でなら、このプロポーション造形にはまだまだ改善の余地があると感じられるはず……。贅沢を言えば……あまりいい出来じゃない。……まぁ個性だとは思うが。

このゲームでは、酔った女の子が歌唱する場合をカワオケと呼ぶ。カワオケでは、振り付けのステップがたどたどしくなったり、歌詞がめちゃくちゃになる。可愛らしい乱れ方をみて萌えてください、という趣向。これだけは同業他社もやってない。でも、カワオケとゲーム性には、全くもって密接なつながりが無い。萌え要素が増すだけだ。その点、歌手を育成する他社では、カラオケが(結局、音ゲーではあっても)構成要素のキーになっている。

このゲームの売りは……というか、癒やしゲーとしてのポイントは、架空の(主として二次元由来的な)女の子と楽しく会話している雰囲気に浸れること、だ。どうでもいい話題を振って、女の子の反応を楽しめるところにある。萌えアニメ系フォーマットで遵守されているので、反応が理解しやすく、萌えやすい。要するに、パターンやお約束に集約されているところを楽しみつつ、ライターさんの手腕による意外性もご馳走に与れる。

お相手は11人の中から選り取り見取り。結末までの長時間の拘束(プレイ時間)も、癒やしのひとときと思えば、丁度良い具合。いわゆるハッピーエンド・クリアも、必要以上に難しくはない感じ。詰まっても、攻略Wikiなどでヒントを掴めば、あとは自力でなんとかできそう。そんな緩さが雰囲気ゲーにはぴったり。なごむ。

難があるとすれば……、リプレイに際して既に体験した会話やイベントをまた経なければならない、という点。生憎とこの手のゲームでは、2周目(二度目となるプレイ体験時)向けのイベントやら何やらは用意されないのがセオリー。一度目と同じ会話を延々とこなし、着実にフラグを立てていくしかない。若干の、見逃したランダム会話を拾うのが関の山。女の子1人当たり、結末が三通り用意されていることから、もし全て体験しようと思うなら、途中経過のほとんどは同じ内容を繰り返さなければならない。ここが旧態依然で、めちゃくちゃ辛い。オートセーブ採用の当シリーズでは、枝分かれの基点からロードして他の結末までを短い時間でプレイ、という進め方もできない。

旧態依然と言えば、女の子の好感度(クリア上、重要なファクターである)を上昇させうる方法のひとつが、女の子の気に入る返答をすること、になっている点にも問題がある。これでは、プレイヤーの趣味や思惑といったものを含有することが推奨されず、攻略のための選択肢選びありきとなってしまう。癒やしゲーの利点として挙げた前述の『どうでもいい会話』への没入度が、この局面では著しく妨げられるわけだ。

「お休みの日は何しているの?」と意中の女の子から訊かれ、プレイヤー自身は「家でのんびりしてる」の選択肢を採用したくても、攻略上の観点では、「街でナンパしまくっている」の選択肢を採用した方が得になったりするのだ。

「ゲームの主人公 = プレイヤー(の近似)」としての意図と、「プレイヤーは主人公をゴールに導く役目(主人公とイコールではない)」の意図では、「雰囲気のゲーム」対「攻略を是とするゲーム」となることがある。主人公のセリフはライターが用意したもの以外にはあり得ないため、プレイヤーの思惑がゲーム内に常に投影されることは難しいが、さりとて、攻略を目的とせんがためにプレイヤーから選択の自由を奪ってしまうのはいかがなものだろう(厳密には『奪う』とまではいかないものの、損得勘定に流される)。本来は、こうした相反する要素が区別されずにひとつに組み込まれるのは、望ましくないはずである。

この種のゲームジャンルは、この矛盾を内包したまま、主人公をプレイヤーの完全なる分身とはさせないまま、発展してきた。一方、ドリームクラブでは、女の子と対面でお酒を飲む場を再現し、その野心的なアプローチがかなりよい雰囲気で成立している。だから、ジャンルを継承するにあたり、あともう一息頑張ってくれればなぁ、というのがある。例えば、他社のラブプラスで示された方向性は「雰囲気のゲーム」を一歩推し進めてくれた好例だろう(その実、同じ会話がループで現れるゲームになったとしても、だ。要するに、物量攻めでなければいけないし、ランダム性を巧みに扱わなくてはいけない)。

そろそろ、「女の子に媚びたセリフを吐くこと」が攻略上の要点ではないゲーム性をもった恋愛シミュレーションの登場をお願いしたい。
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テーマ : 美少女ゲーム
ジャンル : ゲーム

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