ジョン・カーター

俺はこういう物語に弱い。「紀元前1万年」も好きだし、ロマン派なのやね。パルプフィクション的なノリや進行は、CGIによる映像表現で巧みに肩代わりされると視聴に堪えるものになると思うのだ。そうなると荒唐無稽であるほど、映像になったときの面白みが大きい。今作では、火星上での跳躍がそれ。今のライターは現実的に可能な範囲内でのリアルさに注力しすぎてしまうためか、オリジナル作品では無茶で痛快な娯楽映画がなかなか見られない。「ジョン・カーター」では、原作あっての良さが見事に引き立ったのだと言えそうだ。

途中、どこかで見たようなシーンと被る箇所もなくは無い。タル・ハジュスによって闘技場で闘わされるシーンなどはスターウォーズ エピソード2を彷彿とさせる。どちらが先か、ではなく、固定化されたイメージと被ってしまう演出はややもするとマイナス要因であろう。もっとも、似ているとは言えるものの、劇中ではジョン・カーターらしさがしっかりとうかがえる(白大猿の内蔵をかっさばいて出てくる)。

こうした物語には、お約束や黄金律といったものが主成分として必要であり、その中でどれだけ個性を発揮できるか、あるいはどの程度バージョン違いを作れるかが、制作者にとっては腕の見せ所となる。

一方で観客はというと、荒唐無稽さに呆れず、夢見がちな設定にノれて、お約束の展開に高揚できる、といった特性が求められる。この枠組を卒業してしまった人達には、受け入れてもらうことは難しいだろう。

構成では、アクションだけで繋いでいないところも重要だ。登場人物同士の会話、主人公が何を考えて相手にどう発しているか、これらをしっかり見せることが、最近見た「トータル・リコール(2012)」や「プロメテウス」には欠けていた。ゆえにそうした映画の印象は、人物の厚みが乏しいままとなってしまう。今作では台詞に加えて、アリゾナでの家族との想い出がフラッシュバックの形式でインサートされ、ジョン・カーターの決断が雄弁に描かれていた。愚直すぎるくらいのこうした男臭い演出によって、必要な主成分が十二分に補給されている。そこが良い。
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