名 作 R P G を 遊 ぶ (か も) 2

洋ゲーRPGや非電源ゲームを扱った頁でしたが、最近はユルいジャンルになりそうです

映画「プロメテウス」

欲張りな映画だな、と。製作意図が透けて見えるような構成・物語。とりあえずエイリアンが出てきて主人公が襲われるだけではもう通用しない。そこで、ロマンだ。太古の昔、人類創世の秘密が遠い宇宙にあった……。

オマージュとしてはスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」なのだろう。テーマが同一であるし、冒頭の原始地球と思しき空撮は、ブレードランナーのエンドカットの際にリドリー・スコット監督がキ監督から借りたシャイニングの映像かと思えるほど。同2001年にもやはり空撮のくだりはある。ウェイランドのアンドロイドの名前がデヴィッドであることは意図的に思える。

ヴィジュアル面では、今「エイリアン」をリメイクしたら、CGIを利用した素晴らしい画が作れる、といった底の甘い思いつきすら感じてしまう。前日譚の視点も巧み。ただし、そのままリプリーの物語に続いていくわけではなくて、スペースジョッキーと呼ばれていた巨人族の背景説明でしかなかった。ノストロモ号が遭遇した異星船もこうした中の一隻だった、という具合。

壮大なテーマは、見かけだけはアカデミックで、創造主に会いに行くとしたら、というもの。キリスト教を避けて、プロメテウスを比喩とした理由には社会通念上のややこしい問題もあってだろう。

皮肉なことに、この映画では「自分を直してくれ」と“軍人”のもとに頼みに行ってしまった老人の顛末が語られる。Sci-fi的で、無知な人類には起こり得る話のようにも見える。滑稽さの方が勝ってしまいそうで残念だが。ブレードランナー劇中の、タイレル社長を訪れたロイ・バッティの場面と被る。ストーリーテリングとして、私はブレードランナーは出来損ないであると信じて憚らないが、登場人物の描写ではプロメテウスよりもいくらか勝っている。

プロメテウスでは、女性考古学者エリザベス・ショウがリプリーの立ち位置となっており、過去の作品よりも突っ込んだ活躍を見せている。ないしは、今の観客なら、「こうすればいいのに、こうするべきだ、こうできないのはおかしい」と言いそうな場面に解答が用意されていた。例えば、検疫処置はエイリアン一作目以上に厳しい。さらに、腹部から摘出するくだりはその最たるもの。過去のエイリアンシリーズを思わせる場面としての手術シーンと捉えても悪くないが、過去の作品では寄生体が発見されても摘出できずに破滅へ向かうだけだった登場人物への反省のようだ。

人間とその創作物アンドロイドを、「人間の創造主(巨人族)と人間」の関係と照らし合わせることが可能な構造にもなっている。デヴィッドの台詞がなかなか振るっている。

「人間はどうして私を作ったのでしょう?」
「作れたから」とチャーリー・ホロウェイ。
「それを聞いた者は気を悪くするのでは?」
「君には無い感情だ」
これがデヴィッドの殺人衝動(実験活動?)を肯定させてしまった。

「どのくらいの覚悟で神を探すつもりなのです?」とデヴィッド。
「それはもう精一杯さ」
そんなことを言ってしまったが為に、デヴィッドから一服盛られてしまう。ある意味で彼は非常に気分を害しやすいプライドの高いロボットで、人間的だ。

エンディングも夢が拡がる。続篇の為であるかはともかく、生存者は能動的に活動できる状態で舞台を去って行く。これはエイリアンの(プレデターではなく)映画では初めてだ。ちなみに、一作目のリプリーは単に地球への長い帰路を選んで冷凍睡眠に入っているので、私に言わせると今回の結末の意義とは異なる。

しかし、生彩を欠いて映ることもまた事実。脅威を乗り越える展開すらあるにも関わらず、物語全体としては訴求力が乏しく、ホラーに連なるパニックムービーに萎んでいる。筋立ては巧みに拡がるし、エイリアンを彷彿とさせた先を垣間見せてはくれる。しかし、共感や感慨といったものへと繋がらない。描かれる人間の厚みが足りないのだ。冒頭のロマンが途中で脱落してしまう。

エイリアン生物兵器説を肯定したまではいいが、人類が受けるべき罰の理由を上手く落とし込めないでいる。神にさせない為だとしたら? 的確な暗示がひとつあれば、奥底のほのかな恐怖を演出できたかもしれない。神話でプロメテウスと言えば火なのだが、それは人類にとって何だったのか。どうして2000年放っておかれることになったのか。他の巨人族はどうして何もしなかったのか。謎は深まるばかりだ。
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[ 2013/08/07 00:00 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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