名 作 R P G を 遊 ぶ (か も) 2

洋ゲーRPGや非電源ゲームを扱った頁でしたが、最近はユルいジャンルになりそうです

Tomb Raider 〈Long dead scream〉

リリースから4ヶ月ほど経過した最新作のTomb Raiderを購入。最近、新作購入を控えていたから、サマーセールサマサマだ。

私は当時の第一作目からプレイしている(が2作目までで、Legend以降はAnniversaryを除きクリアまで遊んだ)クチなので、変遷を重ねているララ・クロフトにはあまり思い入れを抱けない。第二作目のプレイアビリティがほどよい感じで好きだった。

サバイバルでも、ララは絶対に大怪我をしないスーパーヒロイン

若いララにはサバイバル教官がいたんだ、というのが今回の発見。とはいえ、サバイバルを扱った割りには現実感が乏しい表現で戸惑う。まず、二つに折れていく船体のもう片方へ跳ぼうなんて、考えてはいけないはず。あんなに裂け目がトゲトゲと飛び出しているところへジャンプしたら、海へ落ちるまでもなくグサリ!だ。

ヤマタイ島でのアクションが始まってすぐに、ララは脇腹の端を貫通する負傷をする。彼女は慌ててすぐに刺さった鉄棒を抜いてしまうのだが、ドラマのERなどを見ていると、下手に抜くと出血すると言われている。そのうえ、止血もろくに行わず、水の中をそのまま歩き回るのだから、24時間も経てば出血多量と感染症のせいで高熱がでて酷い有様になるのではないだろうか。空腹感を覚えるどころの騒ぎでなく、傷からくる激痛でへばってしまうのでは?(もっとも、痛がる場面は後でしっかりと登場し、しかも傷を焼いた程度でケロリと直ってしまう。これがゲームの世界)

手製のアックスをテコにして扉をこじ開けるシーンでは、あのような扱い方では自分の体を切ってしまいそうだ。トラバサミにしたところで、あんな軽傷では済まないだろう(あのサバイバルブーツは裏地が金属製なのだろうか)。危険に対する描写が軽く、ガスや燃料を至近距離で引火させたりもする。

ところで、ララのポリゴンモデルは…、他のキャラクター造形にくらべてマズい。なまじ現実の人間でないだけに、似せる風でもなく、過去のらしさが優先されている風でもなく、技術的なHair以外にこれといった魅力がない。人工的な小鼻や窪んだドングリ眼といい、不細工で不美人だ。東洋人のサムの方がよほど美人で魅力的に仕上がっている。ロスをはじめ、脇役の方が個性的でララより造形が巧みだ。

人殺しがメインコンテンツ

ゲーム性はといえば、中盤に差し掛かると、その本性が見えてくる。開発者達は是が非でも、ララで人殺しをたんまりさせたいらしい。ステージクリアの条件が皆殺しという、これは一体どういうゲームだというのか。相手は人外ではなくて、れっきとした狂信者またはミリタリー職の人間サマである。

昔のララ・クロフトを知っているほど、違和感がぬぐえない。旧シリーズもいつのまにか、戦闘に比重をおくようなデザインがまかり通っていたものだが、新生すればするほど生々しい殺し合いでないといけないという強迫観念が開発者達に根深いのだろうか。

Bulletstormだとか、FPSジャンルで銃撃戦を強いられるのであれば、しごく当然だ。プレイヤー側も期待した上で遊ぶ。しかし、ララにいたっては勘弁して頂きたい。クロフト家譲りの本能が強みとはいえ、彼女は一介の女子大生。女1人に対して、殺しに来る敵さんの数が半端ない。数人スマートに銃殺して、あとは上手く躱す、といった風でもない。環境を利用して、とにかく全員抹殺を強要させられてしまう。

難易度は(PC版なので)マウス・エイミングを基準としているのではないか。銃撃戦がメインのステージではとてもパッドでは捌ききれなくなった。残弾数に気を遣って効率よく仕留めるにはヘッドショットしかなく、あの小さい的をパッドで的確に命中させていくのは手間なのではないだろうか。導入部ではカジュアルさを出していただけに、この難易度の上昇具合は急激過ぎるのでは?

とにかく、しつこい銃撃戦にはガッカリ。本当に強くてタフなヒロインならチャレンジのし甲斐もありそうだが、今回の彼女は悲鳴からしてプレイヤーを苛立たせないだろうか。今なら、ハンク・ヒル(※)の意見に大賛成だ。その上、ゲームオーバー時の残虐性はTomb Raiderらしからぬ、Dead Space並みのグロさである。
※キング・オブ・ザ・ヒルに出てくる主人公一家の主で、女性が主人公のゲームを遊ぶ息子に手厳しい意見をもっている。彼曰く「俺たちの頃には、男が女の主人公で遊ぶなんてありえなかった」。この女性の主人公とは、一世を風靡していたララのことだ。

なお、ポイントBuyでスキルを購入するインターフェース画面は、見栄えとしては面白い。ララの心の声が聞こえてくるところも演出としては悪くない。ただし、GEARの場合、深い階層まで辿らないと、サルベージポイントを消費できそうか否かがはっきりしない点には閉口した。

B級映画や既存ドラマとの類似点

やがて、邪教団が祀るヒミコに相応しいのが日系人サムであることがわかった辺りで、ララは血だまりの中に身を隠す。まるでB級映画並み。今回のサバイバルというキーワードといい、行き過ぎた残酷描写といい、これによく似た映画があったことを思い出した。2005年のイギリス映画「ディセント」。どのへんが似ているかまで書く必要も無いほど類似点がある。悪趣味で陳腐で安っぽい「ディセント」の興行収入は良かったそうで、続篇でも儲けているそうだ。

何かが、私たちが島を離れることを拒んでいる、というアイデアはJ. J. AbramsのTVドラマ「Lost」を思わせる。電波塔でSOSを送信する、というくだりもそっくり。要するに、さほどオリジナリティに富んだ筋立てではない。ヒミコとサムライの考証については…日本人なら言わずもがな、である。

コンソール全盛における負の遺産

育ての親である開発者達は探索とパズルが主体だったはずのTomb Raiderという作品の根本をいつのまにか見誤って(見限って?)、世界一有名だったララ・クロフトの在りし日を取り戻すことばかりに躍起になっている。

銃撃戦メイン、QTE、イベント進行(プレイヤーから制御を奪う)が三悪だ。広大なロケーションをどうやって上っていけるのだろう、と頭をひねった時代が懐かしい。昔の銃撃戦はフレーバーでしかなく、さほど執拗なマネージメントが要求されなかった(救急パックで即回復できた)。今のデザインは銃撃戦ありきで、これを簡単にしてしまったら何も残らない。

アクションをやたら難しくさせている要素は、銃器を撃つ際に右マウスボタン(またはLT)をホールドしてから撃つ(左マウスボタンまたはRT)という二段式になっているせいだろう。このホールドによって視野が狭くなり、近接した相手を狙いにくくなっている。拳銃を素早く撃てないというシステムはいかがなものか。

さらに、ララの近接武器が弱く、相手を怯ませる効果しか無い。トドメは銃器ということになり、前述の通り狙いが定めにくい。敵方が平気で使ってくる投擲武器(手榴弾、ダイナマイト)に類するものをララが持っていないというのも理不尽な気がする(グレネードランチャーは使えるようになるが…敵の強肩には及ばない)。銃器アクションが三度の飯より好きというお客には、やり応えのある代物となり得るだろうが、端からTomb Raiderを期待している客には邪魔な要素としか映らない。

イベント過多なせいで、ゲームを遊んでいるというよりも、ゲームに付き合わされている感じが強い。QTEの前段に相当する処理や、プリレンダのイベントムービーは'96年当時の旧作でも確かに存在した。表現力が進歩した今だからこそ、同じことをやっているだけでは能が無い。

旧作は広大なパズルである各ステージをクリアするまではプレイヤーが自由に試行錯誤できた。現在はそれすら冗長だというのか、短い範囲で区切ってQTEかイベントを挟むやり口が主流となってしまっている。こうした作り方をしている限り、いくら新生しても次世代的な目新しいララ・クロフトが生まれることはもう無いように思える。
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[ 2013/07/17 02:19 ] ■アクション Tomb Raider Legend | TB(-) | CM(0)
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