バミューダ・トライアングルで遭難

酷評されがちのDark Voidは、自ずとメタスコアも高くない。筆者はデモをプレイした上で、空を飛べる主人公の特性を生かした戦闘が出てくる事を期待していた。結論から言うと、地上銃撃戦と空中戦は、はっきり切り分けられていて、両者を巧みに切り替える事による戦略が生まれる余地はほとんどなかった。一部の地上マップは空を飛ぶ事も想定されている作りではあるものの、飛行速度が極端に早い事から、主としてホバーしか活用できない。飛行は、地上の銃座を攻略する際に、銃座に着いた敵の後ろに回るといった、距離を詰める目的くらいしか活用範囲がない。それもコツを掴むまでは離陸が難しく、激突死も多発する。

映画的

あくまで主観的なものとお断りした上で、ストーリーの印象を述べると、結局駄作だった超娯楽映画の香りがする。そう、映画的なカットシーンや芝居でチャプターが締めくくられるのだ。昨今のゲームではもはや珍しくはないが、プレイが単調な分、イベントの繋がりや芝居自体に関心が行ってしまうのである。だから、その出来がおざなりだと印象も余計に悪くなる。Dark Voidは、映画Final Fantasyに相通ずる、不出来ぶり、クライマックス、後味の悪さ、と言えそうだ。Final Fantasyを引き合いに出す無意味さは重々承知しているが、日系の資本が関わっているせいもあり、なんとはなしに、共通項を覚えずにはおれない。

とりわけ、登場人物の使い方がよろしくない。重要とは思われない形で退場してしまったり、何の為にキャラクター同士を引き離したのか、といった展開ばかりで煮え切らない。キアヌ・リーヴス主演のMatrix第一作を彷彿とさせる宿命論まで、安っぽく出てくるのだ(台詞の使い回しがそっくりなのは頂けない)。冒頭の”ロケッティア”一号の存在を心にとめておけた人なら、終盤でちょっとした奥深さを感じ取れるかもしれないが。

1930年代、バミューダ・トライアングル、アメリア・エアハートを代表とする謎の失踪、ロケッティア、ニコラ・テスラ、冒険活劇、ロマンス、いい意味でB級要素が詰まっているというのに、料理の仕方が悪いと、こうもしぼんでしまうのだろうか。かなり惜しい。使い切れなかった材料は、ある種の没個性、ごった煮といった出来映えになってしまった。Arkを守っていた目的も、結局よくわからないまま終わる。最後の戦闘ステージはとってつけたように見えてしまう。完成しなかったAva側のエピソードがあって、その為に話が跳んでしまっていると言われたら、誰しも納得してしまうのではないだろうか。なお、ゲーム中のやり込み要素として、ログブックを集めるというものがあり、アメリア・エアハートのログも登場する。

物語はグダグダだったが、音楽はBear McCrearyのおかげで聞き応えのあるものになっている。メインテーマ(OptionのAudio画面で流れる曲)には、冒険活劇のすがすがしさと高揚感がよく表現されており、劇中には、くどいくらいにアレンジがいくつも登場する。ループが多用される傾向があるゲームサウンドにおいては珍しい、ドラムを用いた長めの楽曲も耳に残り、出来のよくないステージにはもったいないくらいで、発売中のサントラを鑑賞してみたくなった。

欲しい多様性

アクションゲームとして、プレイヤーが行えるギミックそれ自体は、悪く無い印象だ。敵機に取り付いて奪ったり、巨大な機械ハ虫類(?)のジョイントを攻撃して退治する。主人公の体力が、Halo同様のヘルスバー無し(自然回復)である点もカジュアルで取っつきやすい。ところが、核となるステージの進行が芳しくない。ひたすら単調なのである。ある”ひとまとまり”の行為を繰り返す事で場面が進行するが、バリエーションや風景や爽快感といった面でカモフラージュされておらず、プレイヤーに飽きを感じさせてしまう。丁度Haloの第一作で、同じような施設内を同じような事をしながら進む、という点が指摘された、あの状態に近い。

目玉の空中戦だが、主人公単身(ロケットパック)の機動性も、敵円盤も味方複葉機のそれも、いずれも同じであった。複葉機は小回りが利かないが武装はすこぶる強い、といったメリハリがあれば、また面白かったはずだが、残念ながら、そういったものはほとんど感じられない。どれも似たような性能、似たような武装だ。

敵機を追尾するインジケーター類が用意されていないので、至近目標を捉えるカメラ視点(LB)を適宜切り替えつつ、自機が敵機に向くようにコントロールして撃墜に持ち込む、という操作になる。この時、Xbox360コントローラーの右スティックを押し込みながら上下に操作すると、180度急速反転のマニューバ(高度変化なく定位置で行えるインメルマンターンのようなもの)が実行できるので、これを多用して敵の尻につく。呆れる事に、このマニューバは(敵円盤はともかく)味方複葉機に乗り込んだ際にも使えてしまう。ロケットパックの小回りによる優位性というものは、端から無いとも言えるわけだ。他のマニューバとして、水平きりもみ(スピン)があるが、どのように役立つのか、筆者には見いだせなかった。

武装強化、銃撃戦

武器のアップグレード(強化)をする事が可能だが、ゲーム中では形骸化していて、今ひとつ面白さに欠ける。各武器の特性が際立っているわけでもなく、強化もポイント不足で頻繁には行えないからだ。特定の武器を活用しないと倒せない敵はほとんどおらず、序盤のレーザーガンが、むしろ一番素直でオールマイティに使いやすい。

武器は全6種類あり、内二種類が常時携行できる。持ち替えとアップグレードは、エピソードの初めか武器ロッカーが配置されている箇所で行う。序盤は人類側のマシンガンしか利用できないが、敵のビーム兵器を拾う度に装備の幅が拡がる。各武器のアップグレードは三段階(1~3レベル)。強化した武器では敵が倒しやすくなる為、銃撃戦の難易度が若干低下し、攻略が用意になる。

アップグレードは、倒した敵がドロップする光る珠(テックポイント)の総計で買う方式。強力な武器のアップグレードほど多くのポイントがいる。やり込み要素として、マップ上の目に付かない場所にもテックポイント(点数が多い赤珠や紫珠)が隠されており、それらを発見すると、より早い段階でアップグレードが可能になる。積極的にこうしたポイントを集めでもしない限り、武器はあまり強化できない。普通にプレイしていると、3レベルまで強化できるのは、せいぜい二つか三つ止まりだろう。とはいえ、全く強化していない武器でも、弾数が余計に要るものの、敵を倒す事が十分可能である。しかも格闘戦を活用すれば、武装はほとんど問題にならない。なお、クリア後の二週目には、使える武器の種類とレベルが持ち越しできる。

地上銃撃戦は、Half-Lifeのバール最強説の如く、主人公による格闘戦が最強である(ヘッドショットによる一撃必殺も可能だが、Xbox360コントローラーでは難易度が高めである点と、弾丸が消費されるという欠点を考えておくべきだ)。撃たれる前に敵に接近し、間合いが格闘戦になる辺りでBボタンを押せばよい。自動でフィニッシュムーブが繰り出されて、ザコ敵なら一撃で、格上の敵でも三回程度で始末できる。タイミングを間違えると、敵が先に主人公の首を捕んでくるが、左スティックを左右に操作して、振り解いた直後に格闘を仕掛ければよい。周囲を敵に取り巻かれている状況下では、四方八方からの銃撃でやられてしまう可能性もあるが、フィニッシュムーブ時は無敵状態のようだ。注意としては、Bボタンは「落ちている武器を拾う」アクションとの兼用なので、武器が落ちている箇所では格闘戦が出ない。中ボス(Knight)等、空中に浮かんでいるタイプの敵は、射撃でしか倒せない。

カジュアル層を意識してか、敵は弱めで、手ひどい攻撃をしてくる事もない。手強い動きをしてくれるわけでもなく、数も大量に出てこない。主人公の格闘性能が良過ぎる事から判るように、メリハリやバランス調整の不足が否めない。アクションゲームをやり慣れたプレイヤーならば、難易度をHardcoreにすると丁度良いだろう。

カバーアクション

カバー(遮蔽)を得た上での銃撃戦には、高さの要素が付け加えられて、上に登りながらや、逆に下に降りながら、のバリエーションを形成している。これは、なかなか目新しいのだが、あまり面白くは機能していない。一般的なジャンプ操作で降りるのではなく、定められた位置取りでXボタンを押すだけだからだ。したがって、操作を誤る事による落下は、生じ得ない。単に目先の進行方向を変化させたに過ぎず、結果として、地上を走るよりも移動が束縛される。デザイナーが、固定したルートを進ませたいので作ったという感じだ。また、登りながら、主人公が軒下にへばりついているというアクションには、物理法則の超越を感じてしまう。忍者ではないはずだが。プレイヤーには上下の感覚喪失を引き起こさせる。実際、筆者は上っているのか下っているのか、途中で判らなくなった。

カバーアクションの操作はMass Effect 2よりもマトモだ。というのも、Mass Effect 2では、敵から追われている際に走ると、有無を言わさず遮蔽物に、それも背を敵にむけたままで、駆け込んでしまう(本来なら、遮蔽物を飛び越した上で、身を翻して隠れてくれるべきだ)。Dark Voidでも、カバー状態の無効化(遮蔽物から出る)が判りにくいが、左スティックを一端下に入れてから動かすと、解除される。

その他

画面がやたら暗いシーンがあるが、照明効果が適切に設定されていないか、ゲーム専用機向けの仕様だと思われる。Unreal Engine 3なら、暗闇の露出を動的に変更させるハイダイナミックレンジの演出が可能だと思われるが、暗い部屋や日陰のエリアが見通せる明るさになるといった演出は一切利用されていない。

プレイしていて困ったのは不具合だ。筆者は、"Breaking Camp"と"The Revolt"というチャプターの冒頭でイベントシーンが挿入されず、ロードスクリーンが表示されたままになり、続行不能に陥った。メニューからReplay Levelを選んでチャプターをロードする際にも、同様な状態が発生する時がある。この事から、開発期間が十分与えられず、見切り発車したのでは? とすら思えてしまう。それを裏付けるかのような残滓がセーブファイル周辺に散見される。マイ ドキュメント\My Games\Airtight\Dark Void\SkyGame\Logs を覗くと、数十から数百メガバイトに及ぶlogファイルが毎回削除されずに残っているのだ。ログの内容に目を通すとFailedという単語が頻出する。

PhysXを付加するパッチを当てると、ロード時の不具合も密かに修正されるようだ。パッケージ版のDark VoidにPhysXを適用させるには、nVidiaのページで提供されているパッチ( http://www.nzone.com/object/nzone_darkvoid_downloads.html )が必要となる。更に、同ページから"Dark Void - PhysX System Software Patch"もダウンロードして適用するとよい。説明によると、PhysXシステムインストーラの初期版(名称はGame System Installer)がDark Voidに同梱されており、高速化されたPhysXシステムとは互換性が無く、特にPhysXの中・高設定のパフォーマンスを悪くするという。

「PhysXシステムインストーラの初期版」というのはAgeiaのv2.8.1とv2.8.2の事を指すと思われる。また、筆者の記憶違いでなければ、Game System Installerは、nVidiaドライバー196.21を導入した後に、コントロールパネル「プログラムと機能」上で確認できた気がするので、Dark Void同梱では無かったような気がするのだが。とにかく、DarkVoidPhysXSS_patch.exeを適用すれば、PhysXサブシステムの更新とレジストリの掃除を行ってくれるそうだ。

PhysXパッチ後フルスクリーンでゲームがプレイ出来なくなった場合は マイ ドキュメント\My Games\Airtight\Dark Void\SkyGame\Config\SkyEngine.ini を開き、681行目の

Fullscreen=False

FalseをTrueにすればよい。

(この日記は名 作 R P G を 遊 ぶ4月2日投稿分を再構成したものです)
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