ゲーマーは殺人鬼~Dexter the Game

Dexter the Gameは、海外ドラマ『デクスター』のエピソード1を題材にしたアドベンチャーゲーム。デクスターは、スカパーのFOX CRIMEチャンネルで2007年に放映が開始され、現在もシリーズが継続中(本国アメリカでは2006年10月から放映)。原作はジェフ・リンジーの『デクスター 幼き者への挽歌』。詳しくはWikipediaの同項をご覧頂きたい。


夜、車中から獲物を観察するデックス。

さて、TV話題作のゲーム展開となると、パッとしないのが常道である。このゲームもご多分に漏れず、随分と見かけが悪い。マイケル・C・ホール演じる主人公デクスターの猿顔は、まぁまぁの再現度だが、その他のキャラクターはまるで注力されておらず、似ていない。特に女性陣に関しては、似せる気など毛ほどもなかったと思われる。

グラフィックはお粗末で、とてもPC向けとは思えない。それもそのはず、もともとiPhoneやiPad向けのゲームとして作られたようだ。解像度も1280*720しか存在しない。これが「iPadでHD」という謳い文句の正体だ。さりとて、倍の価格で販売されているPC版が、グラフィックも貧弱のままでいいとは到底思えないのだが。残念ながら、「iPod Touch 2Gでスムースに動く3D」という評価通りの見栄えとなっている。

操作に関しても同様だ。タッチスクリーン専用のものが、PC版で最適化されるわけもなく、どうにも収まりの悪い、もっと便利にできたに違いない、マウスオペレーション主体のインターフェースを誇っている。

他方で、公式ゲームの良いところは、声優陣にTVそのままの配役を使えることだ。デクスターのお馴染みのモノローグが、マイケル・C・ホールの毒味を効かせた裏の顔の声として、TVと同様に用いられている。セリフもTVとほぼ同一のものが登場するなど、ファンにとってはなかなかステキな趣向だ。ただし、レギュラー全員が本人の声で演じられているわけではない。デクスター以外はエンジェルとドークスしか起用されておらず、残りは赤の他人が声を当てている。

プレイヤーが操作するのはデクスター本人で、TVとほぼ同様の筋立てをアドベンチャー仕立てで体験する。ジャンルは、カジュアルゲームに相違なく、ミニゲームがふんだんに取り入れられている。


ミニゲームのひとつ。錠前開け。時間内にタンブラーのスキマにピックを貫通させればクリア。


パスワード解読ミニゲーム。縦横4マスのグリッドに4文字を並べ、ヒントを元に試行回数内で列びを完成させればクリア。縦横の列で文字が被らないようにすればよい。


指紋照合ミニゲーム。なぜか音ゲーと化している。映画「未知との遭遇」で行われたエイリアンとの会話よろしく、色と音をオウム返しに再現すればクリア。

冒頭はマイク・ドノバンの事件。TVの熱烈なファンは、おそらくここでガッカリしてしまうだろう。ドノバンが尾行するデクスターに対し、「なんだ? 誰かいるのか? 俺をはめようとしているんじゃないだろうな! どこだ、出てこい」と、スニークゲームの雑魚NPCが吐き捨てるような、ステレオタイプでゲーム的なセリフを吐く。TVでの、後部座席からぬっと現れるシーンの影には、このゲームのようなデクスターの地道な努力があったに違いないのだ……などと、プレイヤーが納得するとでも思っているのだろうか、開発者は。こうなると、不出来ぶりを楽しむゲームと捉えるしかない。

冒頭を終えてからのアドベンチャーパートはそれなりに堪えられるものとなっている。グラフィックの酷さは無視する以外に手が無いが、デクスターのセリフを3つの選択肢から決められる点と、「ダークパッセンジャー対マスク」を表現したインジケーターは評価できる。プレイヤーはデクスターの素性が他人から悟られることのないように、マスクの点数を常に稼ぐ必要がある。ダークパッセンジャーはその逆で、デクスターの殺人衝動を肯定するような言動を選択すると増えてしまい、マスクの効果を危うくする。マスクがゼロになるとゲームオーバーだ。

カジュアルゲーム的な処理で頂けないのは、マスクの点数稼ぎにミニゲームが使われる点であろう。純粋にアドベンチャーの結果で左右される以外に、こうした救済策が用意されている。本格派指向のプレイヤーには易しすぎる。


Options画面。難易度設定がある…。ミニゲームの難易度か?


Extrasは何だろうかと見てみたら、何のことはない。ただの宣伝だった。


ジャーナルを見ると、5部構成のようだ。


最初はマイク・ドノバンの事件。ドノバンは夜な夜な寂れた場所に来ては何かをしている。その秘密を掴め。


ドノバンが埋めたものを掘ってみる。AとDを交互に押すと、デックスがえっさほいっさとスコップを使ってくれる。


最初の物的証拠を見つけた! テキストによる説明でハリーの掟とデクスターの生い立ちがさらっと解説される。ぶっちゃけ、TVのファンか小説の読者でないと、意味がよく飲み込めないだろう。


めぼしい場所に行くと、○のアイコンが出るので、それをマウス・カーソルでクリックする。この場合は『調べる』のアイコンが出た。どうやら、物的証拠は揃ったようだ。


さて、とうとう獲物の始末に使う部屋を用意する段になった。


ここが、それだ。


プラスティックで部屋全体を覆う。継ぎ目はしっかりとテープで塞ぐ。この場面では、些末な事を体験するゲームとなっている。


今度は「ドノバンを捕まえろ」。キャプチャ画像は割愛するが、とってもオマヌケなスニークゲームになっていた。これがデックスの世界の再現とは、受け入れがたい。


お馴染みのシーンはプリレンダムービー。ファイルはwmvなので、ゲーム外からでもアクセスはおろか視聴できてしまう。ゲーム内コンテンツのいくつかは、AdobeFlashで作られていた。なお、音声ファイルだけは暗号化されているらしく、試聴不可能であった。


お馴染みの場面。デックスたるプレイヤーは武器を3種類の中から選べる。ちなみにTVではボーンソーだ。


TVと同じセリフを喋るポリゴンのデックス。セリフは3種類ある選択肢の中から選べる。


犠牲者をいたぶる手法はどうやって再現しているかというと、コレ。画面に現れる矢印の通りにマウスでなぞるだけ。綺麗になぞることが出来れば得点が入る。この方法なら、直接的な損壊表現を気に病む必要はない。犠牲者の悲鳴と、スプライトによる血しぶきからなる効果が入る。


得点の結果表示。


死体を海に沈めた翌朝。義妹のデボラから電話が。TVと同じセリフで、「ラッキーオーシャンモーテルにすぐ来て」と、別人の声。


これがモーテル!? 再現度や忠実度が低いと言わざるを得ない。非常にがっかりなレベル。


ポリゴンのデブを見てまたガッカリ。これは酷い。


エンジェル。ヒゲさえあれば分かるだろ、という出来。デボラよりマシだ。


マスーカ。ハゲだから似せやすいが、酷い出来だ。


リタ。言われないと正直、誰だか分からない出来。
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テーマ : PCゲー
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