Star Trek Into Darknessの感想

う~ん。23世紀のTOSシリーズのノリならOKなのかもしれないな。こちとら“24世紀のドラマ”を期待していたので、満足には至らない。活劇としてなら、先を読む暇もなく畳み掛けてくることから、そこそこ面白い。ただし、中盤からは先が読めてしまう(観客に「やっぱり、そうだと思った!」と言って欲しがっている脚本)上に、それ(カークの自己犠牲と、血液による再生のために捕縛するくだり)以上のオチがない。映画的な見せ方は贅沢だったのだけれども、まるでボトルショーのように狭く感じる。

優性人種を出して、クリンゴンとの開戦の危機が……とまでやって、これは一体なんだろう? 破壊からの復興? 過去の遺産からの脱却? (はいはい、カークの成長だよね。分かってはいるんだけど……。あのカークは好きになれない。やんちゃ坊主の話で映画作られると、ちょっとね)

ドラマないしは物語の性質が、こちらの求めるスタートレックらしい(要するにTNGから築かれてきた)理念や人道性の味わいとは異なっていた。マーカス提督はウォーキング・デッド世界のようなサバイバル脳を発揮してしまったわけであるし(いやまぁ、TOSシリーズのエピソードには近いものが確かにあったよね)、ジムとスポックの友情物語は固い(が、焼き直しでは飽きる)。またしてもパイクに諭されるカークの無鉄砲さが、この映画の方向性と一体になってしまっている。

私としては、TOSの若さよりもTNG以来の成熟が欲しかった。旧作『カーンの逆襲』でも、カークが自身の老いを口にだす中、避けられない友人の死が起き、ジェネシスの蘇り(まだスポックの、ではない)を目の当たりにする。TNGを引き合いに出さずとも、旧作にはこういう優れたポイントが存在した。そうした味わいが今回のアクション大作の中ではどうにも乏しい。確かに、リブート版前作のカークが生まれるシーンのように、優性人種の血清のおかげで娘が快復する連邦士官(しかしツケとして巻き込まれてしまう)の姿が描かれてはいる。こうした見せ方は秀逸で深いものを感じとることもできた。が、主人公達が紆余曲折の挙げ句に達成した某かではないのだ。あくまで添え物なのである。リブートのキャロル・マーカスが健気に父の愚行を止めようと身を呈する様は実にドラマチックだが、まだ若すぎて老獪な父親にうわてを取られてしまう。その父親はといえば、娘の見守る中、いとも簡単にカーンの手にかかって絶命してしまう(ピーター・ウェラーはこんな役どころが本当に多い)。あんまりだ。若い(青臭い)、みんな若すぎる。

物語上のネタで言えば、今回のカーンには弱みがない。奥さん(候補)も出てこなければ、部下の死もない。人間味となる、実感的な厚みを伴う要素が出てこなかった。セリフではさんざん言っているし、涙すら流すのだが。冷酷で知能・体力ともに優れた“レプリカント”的なだけであった。もっとも、優性人種というものは元来こうあるべきかもしれないが。

全部が駄目とは言わない。ジム、スポック、マッコイの三者の掛け合いの妙味がたいへんいい。それぞれのキャラクターは立っているし、伏線というかキーとなる構造の前振りもしっかりと観客に伝わる。かつてスポックが言ったものと同じセリフ(船は危機を?)を今度はカークに喋らせる試みも興味深い。スタートレック世界のタブーないしはこれまで破られなかったこと(遅れてワープしてワープ中の船を追撃する)が、またもや破られることもリブートらしい。コンスティテューション級の船が海中にまで降りてきている辺りもリブートならでは。なにせ建造が地球上で行われていたくらいだ。デカさや迫力の関係で、設定上の理屈はともかく、画として都合がいいのだろう。

私は旧来のファンであって、ピカードやジェーンウェイ風のものを好む。だから、この映画のアクション性から滲み出てくるものにスタートレックらしさを感じることは難しかった。むしろスターウォーズ的で、JJ氏はそちらの方が向いていそうだ。例えば、スポックがカーンを追って空飛ぶ交通ユニットの上で殴り合いを演じるくだり。これはIIIのアナキンとオビワンの溶岩川での戦いか、もしくはII冒頭のコルサントでの捕り物にだぶって見えた(目新しさでも、かなり損をしている)。残念なことに、スポックの熱血ぶりに惚れるどころではなかった。

TOSシリーズっぽいノリの活劇というと、スターゲイトSG-1シリーズで満腹になれる。つまり、リブートでお茶を濁されるくらいなら、SG-1のブルーレイでも買った方がいい。つまりはそういう映画であった。
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