名 作 R P G を 遊 ぶ (か も) 2

洋ゲーRPGや非電源ゲームを扱った頁でしたが、最近はユルいジャンルになりそうです

CRPGの勇者とダンジョンたち

来年3月を目途にgeocities.jpが終了するとのことで、あっちの記事をこっちのブログに移植しているところです。先日も2003~04年のTOEE体験版のネタなどを移行しました。

こんなに旧い記事に何かを見いだすのは難しいものですが、あの時期に一生の何十分の一かの時間を割いてCRPGを遊び倒した記録には違いないわけで、俺にとってはもの凄く貴重な資産でもあるのです。

そんな生暖かい思い出を喚起させてくれる文芸がここにも!

「ダンジョンズ&ドリーマーズ」平松徹(訳)

これは全力でオススメしたい。

ゲイリー・ガイギャックスらのDnD発祥から始まって、コミュニテイベースのムーブメントが黎明期のCRPG界隈でも巻き起こっていた…… 

コンピューターゲームを遊んだ人なら、聞き覚えのある有名人が多数登場して、彼らの人生の一頁がどんな発信源になったのかが物語形式で読める、ちょっとワクワクできる本です。

これまでとは違う「何か」が生まれると、本来指向したものとは違う楽しみ方を追求する層が自然と沸き、その取り巻きが楽しむために改良していったものが、やがて末広がりに巷を席巻していく…… この渦中に参加できた人は本当に幸運です。羨ましい!

技術革新によって、そんな渦や波は現在でも起き得ます(初音ミク、ニコ生、Unity、VR、VTuberの台頭)。でも、そうしたムーブメントを楽しむだけでなく、自己実現的に協調できる人々はほんの一握り。多くは観客に過ぎません。野球選手になりたいと思って実現できる人が稀であるのと同じ。夢が叶うなんて甘い妄想です。

とくに物理的な距離という壁が厳然と立ちはだかっていた昔は、先進的な“片田舎”のギークな少年たちが表舞台に立つことなんてあり得ないと思われました。彼らはそんなことを熱望していたわけでもありません。ところが、技術を利用して自己充足的な活動をしていたら、いつしかそれが利他に繋がり、ひいては教祖になっていたのです。

日本で言うなら、同人誌といったアナログ・アナクロなはずの波及効果が、デジタルならではのインフラで加速されていった、現代的なルネサンス。

会話の遊びだったロールプレイングゲームが、いつしかネットを介して集団が体験するオンラインRPGに! この過渡期を渦の中心で直に見てきた人達の体験を、デジタルデバイスで横になりながらヌクヌクと読めるなんて、なんという僥倖でしょうか!!

――勇者達の物語を文章で追体験しましょう。貴方もきっと英雄になった気分に浸れます。
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[ 2018/10/16 01:51 ] 文筆 | TB(-) | CM(0)

“繋がる”

本当だろうか?
単にケータイを持っているだけじゃないのか?
相手を電話口に出すだけのことを
繋がると言っているようにしか見えない
返事があるから繋がっているって?
それは本当の繋がりか?
血の繋がりの方がもっと重かったはずだ
それを今は、他人との繋がりの方がさも有用であるように言う
その繋がりは、君が窮地のときに救ってくれるほどか?
そうであればいいと願うが、このご時世、その希望は脆い
まずは家族を大事にしようよ
他人と繋がるのはそれからだ

ああ、ごめんごめん
僕はぼっちなんだよ
だから君たちが繋がるって言うのが羨ましかったんだ
ただそれだけさ
本当にただそれだけさ
[ 2018/07/28 06:40 ] 文筆 | TB(-) | CM(0)

トリップ(映画鑑賞)

 哀しくて優しい映画だった。人生に疲れた男――正確にはこの形容は違う。人生というゲームの攻略法が分かりかけた時には元手がなく(カネがないとかコネがないとか学歴がないとか、歳がいってしまったとか、最後のひとつはキョーレツだ)てどうにも挽回できる見込みが薄くなってしまったということだ――にはよく実感できた。若いときにはなかったことだ。

 この映画には原作がある。映画は焦点がよくコントロールされていて、全体としてまとまりのある逸品に仕上がっていた。反面、枝葉末節はエッセンスのみが活かされていて、原作小説の紙幅で語られていたムードは絞りかすのごとく捨て去られていた。例えば、窃盗に入ったシャブ漬けたちが割れたガラス窓に挟まった猫を救出しようと奮闘する挿話は捨てることが出来ないネタのひとつだったろう。原作を読んで映画を観れば、かなりの要素が補完し合い、まさに理想の結婚になる。

 主人公の男にはスケがいる。ヤクの売人でジャンキーでごろつきの窃盗団と縁のある、しようもない女だが、主人公はベタ惚れなのだ。彼女の為なら、その罪全部を自分の裁量権でもみ消してやろうと思うくらい重傷だった。この視点も疲れた男にはよくわかった。甲斐性無しの男が女に恋するってのはそんな感じだ。その女(というよりも、ある場面では未成年の若い娘になってしまう)は無邪気で奔放で偶然に社会のワナを避けているに過ぎないが、自然のパワーに満ち溢れていて、その男には手に入れられない代物の具現のように写る。

 その娘には人生のプレゼントをあげたかった――このくだりは映画にはない。訊けば、もう貰っているという。夢はいつか北に小さな家を持つこと――このくだりのみ使われている。いい伴侶と共に。男は伴侶の候補ではない。年齢によるギャップかもしれないし、若い娘特有の夢想かもしれなかった。アヘン中毒で長く生きていられないだろうことが文中で示される。娘は最後にボブの(主人公の男の、あるいは作者の)手をぎゅっと握って離す。ボブはその感触を彼女が死んだ後だろうと一生忘れないのだ。

 男の方はといえば、昔はこうではなかった。二人の娘がいたし、当然、妻も居た。ところが、ポップコーンの素が入った袋を左手に持って台所に向かったとき――娘達にポップコーンを振る舞おうという、優しい父親を演じている最中だった――に、キッチンの戸棚の縁に後頭部をぶつけて気が付いてしまった。自分が何を嫌っているのか知ってしまった(こんなことはよく体験する)。その過去完了の命題が小説であり映画だ。

 原作者も数奇な男だった。根っからのプレイボーイであるせいか、妻を娶っておきながら長続きしない。貧乏で日々の生活に窮する。ラッキードッグペットストアの逸話は――細君の一人によれば――作者の作り話らしいが、あまりに典型だった。高額の前渡金欲しさに長篇を執筆する。だもんで短篇を膨らませたものが多い。出来のよかった短篇が、長篇になるとぐちゃぐちゃになってしまう。

 そんな作者も、身近での出来事を小説という形で表現しなおしたらしいこの作品になると、希有な名作家の仲間入りを果たしていた。落伍者たちの暮らし向きからはじまり、そうした者が陥るドラッグという暗い領域の輪郭を、一見くだらないタッチで描き、ゴミに隠されたダイヤが見えるようになった疲れた男のような連中から共感を得るのだ。

 劇中の彼らの生活はドンパチこそないが、Grand Theft Auto 3でもあるに違いないいびつな暗部のライブアクションだ。何かが起きると、それは必ずドラッグを基点としている。ドンパチがないぶん、より悲惨なことに、彼らの生活に生彩はない。日々は退屈で、帳尻合わせに時間と健康とが奪われていく。片道切符――予告篇とも呼べる――で戻れる見込みはない。GTA3に付き合うゲーマーの立場みたいなものだ。新しいドラッグはゲームというのはどうだろう、物書き志望の疲れた男の脳味噌が提案する。

 中毒者の更正施設はアメリカ現代文学の主な舞台じゃなかろうか。この作品における使われ方は違うものの、もはや抜きには語れまい。日本だってウカウカしていられない。ヤク中のアイドルや俳優がわんさか居るくらいだから。経済は日本化し、犯罪は北米化するのだ。いたたまれないことだが。

「放射能はドコ化だよ?」ラックマンが不謹慎に言うだろう。バリスがしたり顔で国名をあげてこき下ろすだろう。
「ターン・オン、チューン・アウト、グッド・バイ」ソファーで彼らの話を聞いていた疲れた男は現実に戻ることにする。
[ 2011/08/18 02:33 ] 文筆 | TB(0) | CM(0)

5.稀覯書

 翌日、再び少年は“ジョバサの稀覯書”がある外人地区まで足を運んだ。オルディネーターに後を尾けられないように十分注意して。店に入ると奥まで駆け足した。ところが、あの猫亭主がいない。階下に降りた少年は声を上げた。オルディネーターがいる!
「公爵ドレンが寄こした護衛」と長身のオルディネーターの背後からカジートのジョバサがひょいと姿を現した。「ジョバサを護るのか、ジョバサ以外を護るのか、わからないけど。感謝してる」
「つまり、トリビュナール側じゃないってこと?」と少年。
「昨日の話」猫亭主は答えず切り出した。「あれ、相当無理」
「ええっ!」
「ジョバサの友達、みんな牢から出たがってるけど、あそこじゃない」
「そんなこと言わずに、なにか手はないんですか」
「本貸すから、自分で考えて」
 少年の手には数冊の本が手渡された。
[ 2011/08/13 03:20 ] 文筆 | TB(0) | CM(0)

4.空中要塞

 異端審問総長官のいるこの街区は真実省と呼び習わされている。それは空中に浮かぶ岩で出来た要塞で、内側には、迷いそうな通路と、投獄されたら死ぬまで出られない独居房とが穿たれている。
「いつも思うけど、ここへ上るのは厄介よね。苦手な魔法に包まれると胃がシクシクするもの。それに空気も薄いし」
 アンダリン・ハーディルは法務院からの連絡事項をまとめて、総長官にその報告をしに戻るところだった。
 テラス状の足場に到着すると、階級違いで仲良しのアルベラ・サラムが「相変わらず大変そうね」と会釈を返してくれた。
「さぁ~て、困ったね。これから楽しいお茶の時間なのに」
 総長官は自慢の逆毛と濃い顎髭とに代わる代わる手をやって、やせすぎの体に鎧が食い込むのを気にしながら、他の部下がいるのもかまわずに、戻ってきたばかりの小柄な秘書に低い声で言った。
「それで、こんどはどんなヤツなの。その作家ってのは」
「はい、四十過ぎの、帝国人です。いかがわしい劇を、上演した廉で、二度、書類送検、されております」
 アンダリンはいつものように控えめを心がけながら、上司がはっきりと理解できるように滑舌に気をつけて言った。
「仕方ないね。あってみるよ」

 一番弟子のカシウスは、劇作家が言い残した“夜馬車”を頼りに、カジートの店主がその名前だという本屋に出かけた。
「あなたがヨバシャさんですね?」
「そうだ。ジョバサに何か用か?」
 そのカジートは、少年がこれまでに会ったどのカジートよりも言葉が不自由に思えた。特に彼らは自分のことを“私”や“僕”と呼べない。
「実は…」
 少年の必死な説明が実って、言葉が心配だった相手は経緯を理解してくれたようだ。
「あぁ、そうかぁ。それは困ったな。ジョバサの友達、なんとかできるやつ、いるかもしれない。明日の今頃、また来て。いいか、尾けられるなよ」
 こんな子供じみた会話しか出来ない猫もどきに、尾行されるな、なんて偉そうなことを言われて、カシウスは少し不機嫌になった。尾行もくそも、この店を見張られていたら、それでお終いじゃないか。なんだよ、ばか猫。

「きみねぇ、こんなもん書いて。許されると思っとるの?」総長官は出だしの数行を読んで眉をしかめた。「だいたいヴィヴェク神を、」
 彼は声をひそめてから続けた。
「殺しちゃうと、この真実省が落ちちゃうんだよ。きみの住んでるカントンだってペッチャンコだ!」
 彼はペチャンコというところを強めようと体を揺すったので、暖かいお茶の入ったカップから中身がこぼれた。
「もっともぉ、生き神様を殺すなんてことは、でっきない~~」語尾は嬉しそうにお茶をすすったのでよく聞こえなかった。「きみ、どおしてモロウィンドに来たの? シロディールで書いてれば、そこそこ人気出たでしょ?」
 ようやっと自分の番が回ってきた劇作家は正確に伝えようと思案した。
「それは、長い話です。妹が…」
 異端審問総長官は制止した。
「ああそう、長い話はご・め・んだよ。あたしは劇が大嫌いなの。ばんぺ~い! こいつ連れてっちゃって!」
 劇作家は、甘ったるいお茶の匂いが充満する取り調べ兼執務室からは脱出できた。
[ 2011/08/11 00:02 ] 文筆 | TB(0) | CM(2)
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