敢えて今プレイするほどではないが、語り口はずっと良い

American McGee's Alice、EASYだがクリア。う~む、せいぜい佳作程度の出来じゃないだろうか。まず“見て呉れ”だが、2000年当時というと、Morrowindより2年前に相当する。McGee's Aliceのグラフィックは、ついこの間GOG.comで購入したEnclave(2002年)並に見える…ということは決して優良の部類ではない、中の上くらいだろうか。ローポリゴンモデルに造形美を求める風潮は、マシンの性能から言ってもまだ無理な時代だったし、そうした訓練を積んだデザイナーを雇うという事は希有だったろう。

「古くさいエンジンを使って、作り慣れたMOD環境下で大作迎合的な殻を持った野心作を作ってみた」という風情の作品に見えた。型にはまった割に洗練さに欠ける印象で、評判になるような斬新さを持っているように思えない。唯一、ワンダーランドが血みどろである事を除いては。ここの受け止められ方の比重が大きかったということだろうか。

私はコンソール風のプレイフィールが昔から大嫌いなので、後半に行くにつれて、ボス戦に辟易してきた(当時手に取らなくて正解だ)。ボスのヘルスバーが常備されていないのは不親切。おそらく、過度にゲーム的な装飾は廃する方向性なのだろう。最終ボスは、とりわけ攻撃が利いているのかいないのか、リアクションが乏しくて判らなすぎる。

大きなマイナスとしては、着地や武器を振るった際の手応えの表現(フィードバック)が無い。万年素振りと、いつもツルツルすべる氷の上を跳ね回っているようなものであった。

ステージのレベルデザインには、初代DOOMかQuakeと共通する悪くないプレイフィールを感じたが、三人称視点とジャンプ多用(落下でやり直し)のせいで駄作っぽい。リアル指向とも違う中途半端なビジュアルのせいで、高い場所に上ったからといって、見晴らしを気にしたり、「デジタル世界もここまで来たか」という感慨に耽る出来栄えは望めなかった。これなら、初期Tomb Raider(98年の第三作目辺り)の方がよほど豪勢で楽しく思える。

Alice Madness Returnsとの比較では、この前作McGee's Aliceの方が、話運びやステージの作り・順番では優れている。固定化したアクションの反復が強く意識するほど見られない点はもちろんのこと、なにより、物語進行に伴ってきちんと先へ進んでいる、という感触がプレイする側に存分に伝わる。Madness Returnsでは、どうしてミステリアス・イーストといったステージが挟まってくるのか、よく飲み込めないままプレイしなくてはならない。

McGee's Aliceのストーリーテリングは素直で、原作アリスからの二次創作としては綺麗にまとまっていた。この後日談だとすると、続篇の方は無理矢理に継いだかのようで収まりが悪い。むしろ、新生リメイクとでも解釈した方が良いくらいだ。

私がとりわけ印象深かったのは、昆虫サイズの白兎が、アリスの目の前で人間(*)に踏みつぶされてペシャンコになるシーン。アリスが「どうして私の周りの人はみんな…」とメソメソする演出が入っているのがとても効果的だった。チェシャ猫が傍らで優しく喋るのも良かった。
* もしかして、実はマッドハッター?

アリスにはこの後、合間に二回か三回、泣く演出があって、これが続篇と大きく違う点だろう。普段は強がっているアリスも、倒れた仲間の傍で座り込んでメソメソしてしまうのだ。これは、アリスというキャラクターを身近に感じさせる簡単ながらも上手い手法である。

キーボードやゲームパッドから手を離して、何もしないアイドル状態にしておくと、カメラがアリスを正面から捉える位置に置き換わる。すると、粗いポリゴンで出来た宇宙人グレイのように眼のデカいアリスが、おもむろにナイフの刃先を気にしたり、武器を脇の下に挟んだりといったモーションをしだす。こういう洒落た、一見プレイとは無関係な遊び心が賞賛に値する。自分の動かしているキャラクターに、プレイヤーが愛着を抱く瞬間だからである。

アリスの、家族に火事を警告できなかったという葛藤については、正義のグリフォンを負かした悪のドラゴンが、アリスを嬲るようなセリフの中で言っていた。赤の女王との対決の意味合いは、続篇でも見られる理屈やテーマに通じるものがあるのだろう。続篇を、焼き直しではなく更に昇華させることは、なかなか難しい。
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前作の方が面白いのか? - American McGee's Alice

Alice Madness Returnsに付属していたAmerican McGee's Aliceのプレイを開始。ワイド画面対応(ただし、2Dイメージは横に伸びる)で、Xbox360コントローラも対応している(が、キーボード+マウス操作の方が空中の敵を撃ち落としやすい)。戦闘が面倒であるかのような噂を耳にしたので難易度はEASYを選択。

続篇と異なって、こちらはいきなりワンダーランドに戻ってきた少々勝ち気なアリスが、早くも目的意識マンマンで「小さくなりたいの、方法知らない?」と、鉱山労働者に問い掛け、チェシャ猫がサポートする。基本はアクションとスイッチ操作(フラグ立て)で道を切り開いていくタイプ。短いステージが繋がっていくので、目的や行くべき場所が明瞭。この調子なら、ダレるような事はなさそうだ。

冒頭を除き、イベントはインゲームエンジン仕様。想い出が~などという伏線は全くないので、筋運びが自然。ロンドンにいるアリスがどういう状態かには一切触れておらず、むしろ清々しい。会話体は理屈っぽい続篇より簡単な英語であるように思う。

ゲーム性は「2001年当時なら、こんなものだろうか」という感じで、戦闘システムはかなり無茶がある。10種類もある武器を切り替えるシューター的な操作性で、ゲームパッドには不向き。ジャンプも一段のみで、届かないとあっさり落下。

開始後4時間くらいだろうか。続篇にも出てきたコショウの銃を携えた男爵夫人と戦闘。その後、カメの甲羅を取り戻した牛さんに案内してもらい、ようやく白ウサギと遭遇。

イモムシに会わなくちゃいけないとのことで、白ウサの後を追おうとしているところだが、この谷の中をどう進んでいけばいいのかよくわからない。続篇で主役級の存在感を醸し出しているジャンプ用キノコがたくさん出てきた。誘導が不親切なアクションゲームは、そのタイトルによほど関心が強くない限りは、プレイしていると苦痛だ。

キー割り当て設定に、Climb Upが無いぞ? 通りで蔓草を上れないわけだ。

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ビジュアル先行のパズルアクション、物語は置いてきぼり

Alice Madness Returns、クリア。おおよそ16時間。難易度的に詰まってしまうということもなく、最後までプレイできた。取っつきやすい事は間違いない。あまりアクションゲームをプレイしない方でも、お終いまで行けるだろう…根気さえあれば。要するに、反復が多い構成であるから、中だるみが激しいのである。

「不思議の国のアリス」を題材にしていても、ゲーム性はその辺で目にする普遍的なものの踏襲だ。戦闘システムは、剣と銃がアリス風に変換してあるに過ぎない。落下したらゲームオーバー(やり直し)な足がかりをピョンピョンと跳んでいく。横スクロールや音ゲーといったミニゲームが挿入される…。刃物を手にした眼の大きいアリスという少女が、血糊の付いた青いドレスで闘う事を肯定する設定だから、こうしたゲームなのだと納得するしかない。なにか根底から新しい試みを感じさせるゲームでは無い。

視覚的に目を惹く物語世界ではあるものの、語り口と噛み合った秀逸さを醸し出しているかと問われると、それほどではない。主人公アリス・リデルの心情に共感できるような事態は起きなかった。私も歳のせいか涙もろいところがあるはずなので、「家族を火事で亡くした孤児の少女が精神病院で…」などという筋立てなら、まず間違いなくジンワ~と目頭に来ているはずなのだが、演出か日本語字幕か構成か、はたまた私の感受性か、何らかに問題があるらしく、そういう観点から捉えること無く終わった。

ストーリーラインの異様さとは裏腹に、オチは、推理小説で言うならタブーを破ったかのような「探偵が犯人であった」的なもの。拍子抜けと言わざるを得ない。子供の心を蝕んでいる、かの悪人は、史実から引用したキャラクターなのだろうか。だとするなら、薄ら寒さは覚えるかもしれない。そういえば、L.A.Noireでもシュリンクの伏線があったっけ。

現実とワンダーランドの往来は、説明的である以外に、特に必要性を感じなかった。19世紀ロンドンでのプレイヤーは(ワンダーランド内とは正反対で)トリガーを求めてただ彷徨うだけであり、ゲーム性に貢献していない。良くできた映画を鑑賞した後のような余韻は薄く、このひたすら長く作業的なゲームの終わりを観た、という達成感の方が勝つ。

徒労感がするプレイフィールに、なんだかハッキリしない(意味不明の)筋立ての組み合わせ。少女とグロテスク。権威と犠牲者。正気と狂気。見せかけと本質。見せたいのは、対比の妙なのだろうか? プレイし終えてみると、出来はあまりよくないと感じた。ゲーム内ギミックの如く、粗さが目立つ。

“ワンダーランドで記憶の欠片を集めると、現実での狂気に終止符を打つ為のパワーが身につく”という事なのだろうが、『収集』はゲームにおける「常識的なやり込み要素」でしかあり得ないので、狂気がどうとか精神がどうとか、そういう高尚なテーマを深読みできる裏付けとなり得ない。むしろプレイの過程において、ムービーシーンで語られたような内容がプレイヤー側に訴求してくるように、ステージでの理屈付けを行うべきだと思うのであるが、あろうことかアクションパズルの連続で完結してしまっていて、プレイヤーが体験する事とアリスが内面で体験したであろう事(記憶を思い出したというムービーの内容)に乖離が生じている。プレイヤーはイベントムービーに重さは感じず、章立ての区切りに到達したという程度にしか認識しない。これでは映画や小説が持つ説得力には勝てそうにない。切り絵調ペン画によるムービー(おそらく、元はFlash)はクオリティが高く、美しいのだが、本編のポリゴンレンダと異なるがゆえに、ますます別の次元の出来事のように写る。

前言に反して、ビジュアルイメージだけは成功している。ワンダーランドの、フロイト的とも取れそうなアレンジの世界観は一見の価値があるだろう。性的なイメージが(おとなしくではあるが)散りばめられているように思うのは私だけではないはずだ。軟体動物、馬頭、キノコ…挙げればキリがない。

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アリス

『アリス マッドネス リターンズ(日本語版)コンプリートコレクション』(…長い。いつもの事ながら、これがディレクトリ名でインストール時に変更できないのダ)がアンロックされた! もちろん、前作も付属。

残念ながら、プレイしている時間がない。

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